技術を使って何をするか

村上龍さんが、文学賞の選考をするときに、世の中に対して必要な情報が含まれているかどうか、という判断基準を示されていたと記憶しています。読む人が生きていくのにためになるのでなければ、その作品は評価しない、ということでしょうか。

逆に言うと、文章が下手であっても、貴重な情報が含まれていたら、重要な作品として認めるということかもしれません。芹沢俊介さんの本を見ていて、犯罪被害者の関係者の手記を丁寧に読み込んであるのに感心したことがあります。やはりプロの文章家に比べて、いわんとしていることが読み取りにくいということがあると思うのですが、それを丁寧に読んである。逆に、芹沢さんは、書くだけでなくて、読む力もあるということでしょうか。プロとしては当たり前のことかもしれませんが。

しかし、やはり、自分が当事者でない案件に対して、何かを捉え表現するには、読解能力、文章技術が必要になってくるかもしれません。元から得意な人がいますので、そういう人がそういう仕事を担当したほうがいいのでしょう。そして、それを使って、人を喜ばせる活動をしてもいいし、社会変革のために使ってもいいし、ということでしょうか。